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社内のAI推進担当者をどう決めるか:役割・選び方・最初の3か月

生成AIの社内推進を誰に任せるか迷っている中小企業の経営者向けに、推進担当者の4つの役割、ITに詳しいかどうかより優先する選び方の基準、任命後3か月を月ごとに区切った進め方を整理します。

生成AIを社内で使っていこうと決めたとき、次に出てくるのが「誰に任せるか」です。多くの会社では、パソコンに詳しい若手か、情報システムを兼務している総務の担当者に声がかかります。本人は本業を抱えたまま「AIのこと、よろしく」と言われ、何をすればいいのか分からないまま数か月が過ぎる。よくある流れです。

この記事では、社内のAI推進担当者の役割を定義し、選び方の基準と、任命してから3か月の進め方を整理します。先に結論を言うと、適任者はITに詳しい人ではなく、現場の業務を理解していて、人を巻き込める人です。

推進担当者は「ツールに詳しい人」ではない

生成AIの社内推進でつまずく原因の多くは、技術ではなく業務と人の側にあります。どの業務に使うかを決め、型を作り、使ってもらい、詰まったところを直す。この仕事に必要なのは、ツールの知識より、現場の業務の解像度と、社員に「やってみよう」と思わせる関係性です。

推進担当者の役割を整理すると、次の4つになります。

  • 最初に取り組む業務を、現場の実情から選ぶ
  • プロンプト・テンプレート・手順書の「型」を作り、置き場所を決める
  • 使う人の声を集め、詰まった箇所を直し、うまくいった使い方を広める
  • 経営者に、使われ方と効果を定期的に報告する

ツールの設定や契約管理は、この役割の一部にすぎません。むしろ、ITに強い人が担当になると、便利な使い方を次々に試すことに時間を使い、現場の1業務に落とす作業が後回しになることがあります。

AI推進担当者の仕事は、AIを使いこなすことではなく、社員がAIを使って業務を回せる状態を作ることです。

選び方の基準:3つの問い

候補者を考えるとき、次の3つの問いで見ると判断しやすくなります。

問い 見るポイント 補足
現場の業務を語れるか 各部門の仕事の流れと困りごとを具体的に言えるか ITスキルより優先
人を巻き込めるか 頼み事をしたときに、社員が動いてくれる関係があるか 役職より信頼
時間を確保できるか 週に2〜3時間を推進に使えると経営者が認めているか 兼務なら必須条件

3つ目は、選ぶ側の経営者の問題です。時間を確保せずに任命すると、本業が忙しい月に推進が止まり、そのまま自然消滅します。「本業の何を減らして、この時間を作るか」まで決めるのが任命者の責任です。

若手にAIの推進を任せる場合は、ベテランの管理職を「後ろ盾」として明示しておくと、現場への働きかけが通りやすくなります。担当者一人に任せる形にしないことが、続くかどうかを分けます。

最初の3か月:やることを月ごとに絞る

任命した後、担当者が最初に困るのは「何から手を付けるか」です。3か月を月ごとに区切り、やることを1つずつに絞ると動きやすくなります。

AI推進担当者の最初の3か月:1か月目に業務を1つ選び型を作る、2か月目に5人程度で使ってもらい詰まりを直す、3か月目に効果を報告し次の業務を決める

1か月目:業務を1つ選び、型を作る

いきなり全社に呼びかけず、担当者自身がよく知っている部門から、毎日発生する文章中心の業務を1つ選びます。その業務のプロンプトと手順書を作り、自分で2週間使って、出力の品質と手間を確かめます。この段階では、他の人に広げません。進め方の詳細は、小さく始める生成AI導入:1業務・1か月・1人からの進め方で扱っています。

2か月目:5人程度に使ってもらい、詰まりを直す

型ができたら、協力してくれそうな社員を5人程度選び、使ってもらいます。ここでの担当者の仕事は、教えることより、詰まった箇所を聞き出して型を直すことです。「使いにくい」と言われた箇所は、本人の問題ではなく型の問題として扱います。週に1回、15分でいいので使った・使わなかった・詰まったを集める場を持ちます。

3か月目:効果を報告し、次の業務を決める

3か月目には、経営者に報告します。内容は、どの業務に使ったか、何人が使っているか、担当者の感覚値で1件あたり何分変わったか、詰まった点と直した点、の4つで十分です。この報告をもとに、次に取り組む業務と、広げる部門を決めます。社内向けの研修を組む場合は、この時点で自社の業務を題材にできるため、一般論の講習より定着しやすくなります。研修の組み立て方は、社内AI研修の設計を参照してください。

3か月の進め方はあくまで目安であり、業務内容や組織の規模によって適切な期間は変わります。担当者に無理な成果目標を課すと、報告のための数字づくりが始まり、推進そのものが目的化します。

内製で足りない部分をどう補うか

推進担当者を置いても、業務設計やプロンプト作成の経験がなければ、最初の型づくりに時間がかかります。担当者の経験不足を責めるより、最初の3か月だけ社外の支援を併用し、型の作り方を担当者が学ぶ、という進め方も選択肢です。内製と外部支援の比較や、外部を使う場合の選び方は、社外のAI推進パートナーを使うという選択肢で整理しています。

推進担当者の時間は、会社にとっての投資です。その投資で戻ってくるのは、社員の時間と、業務の型が社内に残ることです。担当者が異動しても型が残る状態まで作れれば、生成AIは属人的な工夫ではなく、会社の資産になります。

まとめ

  • AI推進担当者の適任者は、ITに詳しい人より、現場の業務を語れて人を巻き込める人
  • 役割は、業務の選定、型づくり、使う人の声の収集と改善、経営者への報告の4つ
  • 任命する経営者は、週2〜3時間を確保し、本業の何を減らすかまで決める
  • 最初の3か月は、1か月目に型を作り、2か月目に5人程度で試し、3か月目に報告して次を決める
  • 経験不足は、最初だけ外部支援を併用して補う選択肢がある

今日できる一歩は、候補者を1人思い浮かべ、その人が週に何時間を推進に使えるかを本人と話すことです。

推進担当者の選び方や、最初の3か月の進め方を自社に合わせて整理したい場合は、AI BASEの30分無料AI業務改善診断で状況を伺います。担当者の方と一緒に、最初の1業務と型づくりの進め方を決めます。

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