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提案書の初稿を生成AIで作る:任せる範囲と、人が必ず担う範囲
提案書の作成に時間がかかる営業担当者・責任者向けに、構成案や文章のたたき台を生成AIに任せる範囲と、価格・約束・数値の根拠など人が担う範囲、社外に出す前の3段階の確認フローを整理します。
提案書を作るのに、白紙のスライドを前にして1時間、構成が決まらない。ようやく書き始めても、文章を整えるのに半日かかる。営業担当者が提案書に使っている時間の大半は、内容を考える時間ではなく、形にする時間です。
この記事では、提案書の初稿を生成AIで作るときに、AIに任せてよい範囲と、人が必ず担う範囲を線引きします。提案書は社外に出す成果物なので、日報や議事録とは確認の重さが違います。その確認フローまで含めて整理します。
提案書の作業を分解する
提案書の作成は、大きく5つの作業に分かれます。
- 相手の課題と提案の方向性を決める
- 構成(見出しの流れ)を決める
- 各ページの文章を書く
- 価格・納期・条件・効果の根拠を入れる
- 体裁を整え、社内確認を経て提出する
このうち生成AIが向いているのは、構成と文章のたたき台です。方向性は商談で得た情報から人が決めるもので、商談準備の段階で仮説を整理していれば、提案書の方向性はその延長線上にあります。商談前の仮説づくりは、ChatGPTで営業の商談準備を効率化する方法で扱った型がそのまま使えます。
AIに任せる範囲と、人が担う範囲
線引きの基準は、「間違っていたときに、誰が責任を取る内容か」です。文章の言い回しが硬いのはあとで直せますが、価格や納期の誤りは契約の問題になります。
| 作業 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 提案の方向性・相手の課題の定義 | 人 | 商談で得た情報と判断が必要 |
| 構成案・見出しの流れ | AI → 人が選ぶ | 複数案を出させて比べるのが速い |
| 各ページの文章のたたき台 | AI → 人が直す | 白紙から書くより修正が速い |
| 価格・納期・条件 | 人 | 契約に関わる。AIは知らない |
| 効果・数値・事例の根拠 | 人 | AIは根拠のない数字を作る |
| 相手への約束の表現 | 人 | 言えることと言えないことの判断 |
「AIは知らない」「AIは根拠のない数字を作る」の2つは、提案書で特に注意が必要です。生成AIは自社の価格表を知りませんし、「導入により30%削減」のような数字を求められれば、根拠なく出力します。この性質は生成AIの「もっともらしい間違い」にどう備えるかで詳しく扱っていますが、提案書では致命的です。
提案書でAIに任せてよいのは「言い方」であって、「言う内容」と「その根拠」は人のものです。
構成案を出させる型
提案書の初稿で最も時間対効果が高いのは、構成案の段階です。白紙の状態を脱するのに、次のような型を使います。
以下の情報をもとに、提案書の構成案を3パターン出してください。
# 相手
- 業種・規模:[例:食品卸、従業員80名]
- 相手の課題(商談で聞いた言葉):[例:受発注のFAXが多く、入力ミスが月に数件ある]
- 決裁者:[例:社長。現場の意見を重視する]
# こちらの提案
- 商材:[例:受発注の業務設計と、入力業務の見直し]
- 強み:[例:現場の手順づくりまで一緒に行う]
# 出力形式
- パターンごとに、見出し5〜7本と、各見出しで伝えることを1行
- 3パターンは「課題起点」「相手の目標起点」「導入手順起点」で構成を変える
- 価格・効果の数字は書かない。「(ここに価格)」のように場所だけ示す
「数字は書かず、場所だけ示す」という指示があると、AIが勝手に効果を書き込むことを防げます。3パターンを見比べて1つ選び、見出しごとに文章のたたき台を出させる、という順番で進めると、初稿が半日から1〜2時間になるのが目安です。
社外に出す前の確認フロー
提案書は、日報や議事録と違って相手の手元に残ります。AIを使うかどうかにかかわらず必要な確認ですが、AIで初稿を作る場合は、次の3段階を通す運用にします。
1. 担当者本人の確認
数字・価格・固有名詞・約束の表現を、一つずつ元資料と照合します。特に「対応可能です」「実現します」のような表現は、商談で言えると判断した範囲に収まっているかを見ます。
2. 上司または同僚の確認
内容の妥当性を見る役です。AIが出した文章は読みやすい分、論理の飛びに気づきにくいので、「この提案で相手の課題は本当に解決するか」を第三者の目で見ます。
3. 価格・条件の確認
見積や条件に関わる箇所は、価格を決める権限のある人が見ます。営業の現場から見ると、ここを飛ばした提案書が、後で「言った・言わない」の火種になります。
提案書の確認は、AI導入前から必要だった工程です。AIで初稿が速くなった分、確認を省略すると品質のばらつきが表に出ます。誰が・何を・どこまで確認するかの決め方は、生成AI出力の品質チェックにまとめています。効果の数字を書く場合は、根拠となる自社の実績や試算条件を明記し、保証と受け取られる表現は避けてください。
相手企業の非公開情報や、商談で聞いた個別の数値をプロンプトに入れるかどうかは、利用するサービスのデータ取り扱いと自社ルールで決めてください。判断に迷う情報は、抽象化して入力する(「月に数件のミス」など)だけでも構成案には十分です。
初稿が速くなると何が変わるか
提案書の初稿が速く作れるようになると、担当者は「形にする時間」を「内容を練る時間」に移せます。同じ半日で、構成を3案比べて相手に合ったものを選び、価格や条件の根拠を丁寧に詰めることができます。
営業組織としては、提案書の構成の質が担当者によってばらつく状態が減ります。ベテランの構成の型をプロンプトに残せば、新人でも構成の段階では同じ土俵に立てます。提案の中身で勝負する時間が増えることが、提案書AI化の本当の狙いです。
まとめ
- 提案書の作業のうち、AIに任せるのは構成案と文章のたたき台。方向性・価格・約束・数値の根拠は人が担う
- 線引きの基準は「間違ったときに誰が責任を取る内容か」
- 構成案は3パターン出させて選ぶ。数字は「場所だけ示す」指示で、勝手な効果の記載を防ぐ
- 社外に出す前は、本人・第三者・価格権限者の3段階で確認する
- 速くなった時間は、内容を練る時間と根拠を詰める時間に移す
今日できることは、次に作る提案書で、構成案だけをAIに3パターン出させてみることです。
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